家訓のある風景(推敲中)

家訓本の第9章は、「家訓のある風景」と称して家訓づくりを実践されてきたご家族の歴史を紹介する章にする予定です


まだ仮ですが推敲中の生原稿をどぞ





①「いろは」家訓と山口家の物語


「いろは」家訓 山口秀範

 

い いつも元気でみんなに挨拶。見送り出迎えは玄関に出て。

ろ 労をいとわずお使いお手伝い。整理片づけは自発的に。

は はいと返事は大声で。お世話になったら有難う。

に 苦手なことでも 最後まで、手抜きをせずに取り組む姿勢。

ほ 本やおもちゃを大切に。ものにはそれぞれ生命(いのち)がある。

へ 偏食をしない元気な子供を、神様はきっと見守ってくださる。

と 友達や人の気持ちを思いやる、やさしい心を育もう。

 

 


山口秀範さんの家訓は、今から30年前、単身でアフリカに赴任された際、日本に残してきた奥様と3人の子どもの健やかな成長を託すため1週間をかけてつくりあげたものが「いろは家訓」となります。


以後、この家訓は、父親のいない山口家で唱和されることとなり、毎朝、1つづつ家族全員で読み上げてから朝ごはんをいただくことが、日課になったそうです。


お子さん達もそれぞれ独立した今も、「いろは」家訓は受け継がれ、お孫さんの代、親子3代にわたって、家訓の唱和を実践されています。


山口秀範さんは、世界をまたにかけたビジネスマンでした。しかし、海外赴任後、日本に戻った時に、子どもたちの眼が死んでいる・・・と感じたそうです。たとえ貧しくても海外の子ども達は目が輝いています。


恵まれているのに、恵まれていない。足りないのは心の教育であると直感し、会社を退職。現在、株式会社 寺子屋モデルを立ち上げ、徳育教育のスペシャリストとして全国でご活躍をされています。

 

「いろは家訓」は、1つ1つ、深い意味のある父親の愛情が伝わる家訓です。

そして、より尊いのは、夫の留守を守り抜いた奥様と、 家訓の唱和を実践し、父親の「いない 」ご家庭の中にきちんとオヤジの存在感を示してき事実なのではないでしょうか?


理想の食卓というテーマで子供たちに絵をかかせたところ7割の子供に父親の姿がなかったそうです。オヤジの背中はきちんと伝わっていますか? それは、一緒に飯を食ってない!ということでなく、存在をきちんと伝えていないからだと考えます。


「いる」のに、「いない」おやじ。

そして山口家では「いない」のに「いる」おやじ。


それは、一緒に飯を食ってない!ということでなく、存在をきちんと伝えていないからだと考えます。


家訓は、家族を救う「魔法の杖」です。ちょっと威厳がないなと感じているお父さん。ぜひ山口家の歩みを参考に、家訓の唱和を始めてください

 


②家訓のある風景「東日本大震災にて」


 

津波てんでんこ

                         (三陸地方の口伝)

 


 てんでんこ」とは、岩手県三陸地方の言葉で、各自のこと。


【津波てんでんこ】とは、海岸近くで大きな揺れを感じたときは、津波が来るから誰の指示を待つことなく、家族にもかまわず、各自てんでんばらばらに一刻も早く、より高台に逃げて自分の命を守れ という意味です


この教訓に基づき、片田敏孝・群馬大教授(災害社会工学)の指導で津波からの避難訓練を8年間重ねてきた岩手県釜石市内の小中学校では、全児童・生徒計約3千人が即座に避難。生存率99・8%という素晴らしい成果を挙げて「釜石の奇跡」と呼ばれています。


東北地方を中心におおきな被害をもたらした東日本大震災にあって、先人がのこした教訓が現代に活かされた事例です。


経験は、伝えることで教訓となる

自然災害の多い日本にあって、いつ、どこで自然の脅威と立ち向かうことになるか分かりません。それが「いま」かもしれないし、あるいは1000年後かもしれません


経験は伝えることで教訓となる

家訓は、10年、100年と語り継ぐことで、1000年先の子孫に大事なことを手渡すことができる唯一のツールです


被災後、ブータンの王様が来日した際、こんな言葉を子どもたちに伝えていました


王様:「この中で、竜をみた子はいるかな?」

子供:「・・・」

王様:「ぼくは、竜をみたことがあるんだよ!」

子供:「え~!?」

王様:「竜は、みんなの中にいて、【経験】を食べて成長します。だからみんなは、強くなれるんだよ」


言い尽くせない【経験】をした子供たちにこれ以上の励ましの言葉はあるのでしょうか?

ブータンの王様のやさしさ、そして、素晴らしい見識に「徳」を感じます


プラスとか、マイナスとか、日常の尺度でいえば、震災の経験は間違いなく、マイナスです。


しかし、代えがたい【経験】を力に変えることができたなら、子ども達は、胸に竜を抱くほど強い人間に成長することができます

東日本大震災。あるいは、阪神淡路大震災。70年前には、終戦後、日本は焼き野原になっていました。しかし、私たちは【経験】を力にかえ、より強く立ち上がってきた意気溢れる民族なのです。


【経験】を力にかえる。

そして、この【経験】を【教訓】にかえる取組が、今、求められています。

「家訓づくり」がその一端を担えるのは間違いありません。


 被災地の復旧がすすみ、今は復興の時代と言われています。

しかし、【経験】を力にかえることができれば、誰もが憧れる被災前より、人間が輝く街が創造されるのではないでしょうか?


震災の経験だけでなく、人生のなかで得られたいい経験はもちろん、苦しい体験こそ、語ることで教訓となり、それは家族を見守る龍(財産)となるはずです


目の前にいる子供を守ることは簡単なこと、手の届かない場所にいる子供、あるいはあなたのお孫さん、ひ孫さんを守る「家訓のある風景」あなたの家にもつくってください



③家訓のある風景 お正月には一家で家訓


約束をまもる。ひとにされて嫌なことはしない

あきらめない。やまない雨はな。

 

 朝霞市 Kさん


家訓づくりのセミナーで制作いただいた家訓です。

お父さんが、家族に何を大事にしてほしいか?気持ちの伝わる創作家訓です。


この家訓の素晴らしいところは、その後のお話にあります。家訓づくりのセミナーを開催しても、実際、家訓を家で唱和をする家族は1割ほどとのデータがあります。


しかし唱和を実践された1割の家の100%で、家族の変化があったと嬉しい報告をもらっています。埼玉県朝霞市にお住まいのKさんの家では、家訓の唱和をお正月に実施しています。


奥様が、サプライズで家訓をかいた半紙を用意しておりお正月に一家全員が正座をし読み上げてくれたそうです。いまでは、Kさんの家の年中行事になっているそうです。


お正月というめでたい時に、こたつに入ってゴロゴロするのもまた楽しいものでしょう。しかし、日本には、「はれ」と「け」という考え方があり、


「はれ」・・・お祭りなど非日常

「け」 ・・・日常


ハレとケ」とは、柳田國男によって見出された、時間論をともなう日本人の伝統的な世界観のひとつ。民俗学や文化人類学において「ハレとケ」という場合、ハレ(晴れ、霽れ)は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」、ケ(褻)はふだんの生活である「日常」を表しています


365日の1年の間、「はれ」の日を意識的につくっているでしょうか?

「はれ」があってこそ、「け」(日常)が輝くものです


正月という「はれ」の日に、ぜひ日常をみつめなおす「家訓の唱和」という新習慣を実践ください

 


④ 家訓のある風景 おとなの背中をつくった家訓


 

い いつも元気でみんなに挨拶。見送り出迎えは玄関に出て。

ろ 労をいとわずお使いお手伝い。整理片づけは自発的に。

は はいと返事は大声で。お世話になったら有難う。

に 苦手なことでも 最後まで、手抜きをせずに取り組む姿勢。

ほ 本やおもちゃを大切に。ものにはそれぞれ生命(いのち)がある。

へ 偏食をしない元気な子供を、神様はきっと見守ってくださる。

と 友達や人の気持ちを思いやる、やさしい心を育もう。

 

  (千葉県野田市 Mさん)


家訓は、魔法の杖

創作家訓づくりを薦める家訓二ストですが、心にビビッときた家訓であれば、偉人や友人の家訓をパくることも推奨してます。先人へのあこがれ、背伸びをし、努力をすることは、すごく大事なことです。それが、価値観を借りる「パクリ家訓」です


家訓づくりプログラム受講後に、家訓のもつ魔法に魅せられたあるご家庭の事例を紹介させていただきます。  


プログラムを半信半疑で受講していた千葉県野田市にお住まいのMさん。お仕事は、自営業を営んでいます。セミナー中、山口家の「いろは家訓」が気に入り、家のトイレに貼ってみました。


それから1週間、運悪く息子さんが骨折をしてしまい、松本くんは、ドヤ顔でこういいました・・・



【へ】 偏食しない元気な子供を神様はきっと見守ってくださる

いつも、ご飯をのこしてお母さんを困らせる子供に神様は罰を与えたんだ魚ものこさず食べていれば、骨折しなかった 家訓の意味がわかっているかっ!


そして、この日を境に、息子さん目の色が変わり、M家では、「いろは家訓」を唱和するのが日課になりました。


その後、一家に掛けられた家訓の魔法はこんな効果を見せてくれたそうです・・・

息子さんは、家訓の唱和後、自分で出来ることを自分でするようになりました。あれしろ、これしろっと怒ってきたお母さんが、この「変化」に一番驚きました。

気のせいかオヤジ(松本くん)への家族の視線が変わってきました


M家では、5年にわたって家訓の唱和を続けています

「家訓は、人生を変えてくれた!」っとまで言ってくれました。



家訓づくりは、魔法の杖。

ディズニーランドにいかなくても、家訓1つで、あなたのご家庭を夢の国に変えてください!



⑤家訓のある風景「靴をそろえる」


 

靴をそろえる

                     (狭山市 I家さん) 


埼玉県狭山市にお住まいのI家の創作家訓を紹介させていただきます。


元々は、青年会議所の先輩から、Iさんに伝えられた言葉で、まちづくり、ひとづくりを自称する団体にあって、自分たちが靴もそろえられないであれば、そんなもんは嘘っぱちだ!と諭されたことに由来します


家訓づくりプログラムを受講いただいた石川さん。靴をそろえるというフレーズを思い出し、家族に創作家訓を伝えた1か月後、息子さんの通う幼稚園から石川さんあてに、電話がかかってきました。


先生 :「娘さんが毎日、他の園児さんの靴をそろえているんですが、何ででしょうか?」

Iさん:「それは、家訓が【靴をそろえる】だからです」



靴をそろえることで、具体的に何かが変わるわけではありません。

でも、すごく気持ちがいいことだと思いませんか? 


そしてIさんの奥様からは、家訓の唱和を始めてから、子供たちが怒られる前に自分で行動できるようになってきたことなど、たくさんの効果を報告してくれました。


でも、この家訓は、子供のためというより、お父さん、お母さん自身への「戒め(いましめ)」であるお気づきでしょうか?


【靴をそろえる】という家訓を作ったお父さん、お母さんは、子供の前ではもちろん、会社、居酒屋、どんな場所でも、靴をそろえる姿が求められます。子供にとって一番の教科書は、大人の背中、つまりあなたの背中なのです。


卵が先か? 鶏が先か?

家訓のもつ魔法の力に種はありません。お父さん、お母さんの背中こそが子供たちをかえる力をもっています。


子供の教育を語る前に、あなたの背中を意識してみてください


そもそも親学とは

「教育」を紐とくと、「教え育てる」ものと理解することができます。現在では、教育を語るとき、公(おおやけ)の議論になりがちです。つまり教育行政、学校の問題、先生の問題・・・っと、しかし、「教育」の要素の中で、学校のしめる割合は、3分の1ではないか?と家訓二ストは考えます。


 「教え育てる」要素は、学校、地域、家庭の3つ。

親学、足りてますか? それを他人のせいにしていませんか?


「まず塊(かい)より始めよ」

家訓づくりは、親学。そしてあなたの背中を磨く最高の道具です。


ヴィ●ンの財布を持つ前に、凛々しいあなたを見せてください^^

ヴィ●ンなら10万円。家訓づくりは、ゼロ円です! 

んっ金の話をしちゃだめか(*_*)



⑥家訓のある風景 ゴミをまたぐな


 

ゴミをまたぐな

                            (


家訓二ストのいちおしの創作家訓「ゴミをまたぐな」を紹介させていただきます


 「ゴミをまたぐな!?」と聞いてあなたが感じるメッセージはなんでしょう?


この家訓の意味は、「見て見ぬふりをするな」という意味です。


「ゴミをまたぐな」 そんな家訓を伝えられた息子さん、学校から帰ってきて

「今日、学校でいじめがあったんだよ!」っとお父さんに報告しました。


お父さんは、怒りました。「ゴミをまたぐな!」という意味が分かっているのか? 「見て見ぬふりをしたんだったら、お父さんはゆるさないぞ!」っと


学校で、いじめがなくなる。それは理想であって、現実の学校、そして社会にはいじめが蔓延しています。大切なのは、いじめをなくす努力に加え、いじめにあった時、その時々に子どもたちがその経験と向き合い、葛藤しながらも、どう成長につなげていくか?ということではないでしょうか


いじめた子、いじめられた子。そしてそれを見ていた子。

それぞれの立場で、「見て見ぬふりをしない」。あるいは、それぞれの家庭の中で創られた創作家訓を胸にもっていれば、イジメがあったとしても、大きな悲劇が起こる前に解決策が見つけられるはずなのです。


「ゴミをまたぐな」

あなたも、家訓づくりプログラムを受講いただき、子ども達に、これだけは守ってほしいメッセージを探してみてください^^


巻末コラム 明るい家訓相談室 挨拶をしない娘への報復


家訓ニストの明るい悩み相談室の時間です

本日のお悩みは、娘さんに冷たくされるお父さんからのお悩みです

 

家訓をつかった家庭教育は、躾や、生き方、ひいては、タイガースの優勝まで、様々な効果をもたらすことができます。

 

今回の巻末コラムは、下妻での家訓の際に伺った実話をもとに、ちょっぴり毒をはきつつ、お悩み解決に挑戦してみます^^

 

さて、本日のお悩み相談です

 

Q:相談者Aさん

 

朝、こどもを駅まで送っていくと、お礼もいわず、「バタン」っとドアをしめ行ってしまいました。それからイライラして、モヤモヤして、創作家訓は、この体験をいかし「あいさつ目をみて!」という家訓にしました。この家訓を守らせるためのアドバイスをお願いします

 

A:家訓ニストの答え

家訓を守らせる秘訣は、自分が率先して実行することです。お父さんが、毎日、家族の目をみて挨拶していきましょう!

 

で、問題のお礼もいわず、いってしまう娘さんの件ですが、これについては、あきらめてください。現世での解決を望まず、長~いスパンでの問題解決に挑戦してください。

 

 

お父さんの復讐は30年計画です。

 

まず、お父さんが、積極的に挨拶をする・・・ 思春期のお子さんにとって、これ以上ウザイことはありません。そして、息子さん娘さんは余計に反発することでしょう。でも、お父さんから、ひつこく挨拶をしてください。これを死ぬまで繰り返します

 

ドアをバタンと閉めた娘さんが、改心するのは、きっとお父さんが亡くなったあとです。

 

その時には、娘さんは、家庭をもち、子どもを学校に送っていくこともあるでしょう・・・ お孫さんがドアをバタンとしめ挨拶をせずに走り去ります。で「イラっ」とするわけです。

 

天国にいるあなたは、ニヤリとして、30年かけた復讐の成功を喜んでください。

 

そして娘さんは、後悔とともに、親のありがたみを感じ、挨拶をすることで、自分の子供に対し、復讐を決意するのです・・・

 

後悔だけが人生だ。そして、「親孝行、したい時には親はなし」という格言があります。

 

後悔も1つのエネルギーです。そして、親の無償の愛は、自分が子育てをして初めてわかるものであり、そしてその時には、親が存命されていないものです

 

人の夢と書いて「儚い」 家訓は、いつかついえる自分の命を次の時代に遺す手段です。

 

 

 

ドアを冷たくしめた娘さん、お父さんの真意を知ったら泣くのではないでしょうか?

 

そして、後悔もすることでしょう。

 

その後悔は、お父さんから、娘さん、そしてお孫さんに渡される命のバトンです。家訓の唱和とひつこい挨拶を通じ、後悔のある豊かな人生を、娘さんにプレゼントしてあげてください^^

 

 

・・・という話をしたら、あまりの粘着質にあきれ、30年かけなくても、明日から挨拶をすると思います