ガンダムで学ぶ近現代史③ ニュータイプの出現

エジプトのピラミッドをつくる工事現場の遺跡で、こんな古代の落書きがあったそうです

 

「最近の若者ときたら・・・」

 

旧世代からみたら、新しい価値観のもった若者はいつもモンスターのように見えるもの。そして若者にとっても、古い世代の価値観はうっとしいだけのようです

 

古代より、人間は新しい世代と、それまでの世代の価値観が対立し、あるいは融和することで、社会を構成してきました。

 

「昔は良かった・・・」っと嘆いていても、その一個上の世代は、「昔は良かった・・・」っと思っているわけで、「おっさんはうるさいな!」っと思っても、自分だって若手に説教したりする

 

時代とは、こうして進んでいくのではないでしょうか?

 

 

温故知新

「古きを訪ね 新しきをしる」。そして「ガンダムを訪ね 新しきをしる」をテーマにお届けしているガンダムで学ぶ近現代史の3作目です

 

 今回は、作品のなかで予言されたニュータイプの出現について論じてみたいと思います

 

 

ガンダムの世界観における宇宙世紀とニュータイプとは、世界の国々は1つとなり連邦政府を樹立し宇宙世紀と名付けます。そして、連邦政府は資源の枯渇と地球環境の悪化を理由に人類の大半をスペースコロニーに強制的に移住させる計画を実行。7つのサイドが建設され、100億を超える総人口の大半がそこで暮らすようになったところから、物語は始まります。

 

だが、特権階級化した連邦政府関係者はなおも地球に留まり、宇宙生活者(=スペースノイド)を地球から支配するという不自然な構造が出来上がる。地球から最も遠く離れたサイド3ムンゾコロニーに一人の革命家が誕生する。彼の名はジオン・ズム・ダイクン。元は大学教授で、新たな生活環境を得たことで人類は革新を遂げ、遠からぬ未来にニュータイプ(NT)という超越者が誕生するであろうという「ニュータイプ(出現)論」を提唱していた人物でした。

 

物語のキーを握るニュータイプの論争。しかし、一種のエスパー(超能力者)である覚醒した若者たちは、敵や味方からも疎まれ、阻害される様子も作品中で語られます。主人公であるアムロ少年がいまいち人気がないのも、鬱積した精神状態が背景にあると思います。ウジウジし、はっきりしないヒーロー像は、のちのエヴァンゲリオンにも引き継がれていきます^^;

 

 

この時の【ニュータイプ】が今回のテーマです。

 

宇宙での生活が始まることで、旧世代(地球でくらす人)とは、まったく別の生活様式で育つ人類が育っていくことになります。

宇宙と地球。この違いのなかで、ニュータイプと別称される能力が開花するというのが、ジオン・ズム・ダイクンの主張です。

 

ニュータイプとは、重力に解き放たれた人類が手にした新しいコミュニケーションの姿であり、作品中では、サイコミューという表現で、戦闘中にテレパシーをおくり、戦うシーンが度々登場します。

 

ひとは生活様式にそって進化していくもの。

宇宙で暮らす人類に、今まで眠っていた能力が開花していくというのも、アニメの中の妄想っとも言えない気がします

 


そして、現代に起こっている生活様式の変化も、ガンダム並みに劇的なものなのです。

例えば、昭和49年生まれの幡谷の子供のとき(6歳ごろ)の生活環境を紹介すると

 

エアコン(ない)

テレビ (ガチャガチャ)

電話  (黒電話)

携帯  (もちろんない)

ファミコン(ない)

パソコン(もちろんない)

 

こんな感じです。

これが、平成生まれの世代に当てはめれば、当時、手に入れることのなかった生活用品が、充足されていることが分かります

 

そして、ぼくらの父親の世代の生活環境は、いまでは信じられないものです

 

電気  (ぎりぎりある)

ガス  (ない)

風呂  (あるところには、ある)

水道  (都会にはある)

 

親父やおふくろの子供の頃は、朝ごはんを食べるのも一苦労、朝4時や、5時におきて、薪をくめ、釜に火をつけ、ごはんを炊くところから始まります

洗濯機はないので、手で洗う。脱水は人力です。車もほとんどありません。

 

これは、単に便利になった^^っというだけでなく、ヒトとの関係性が薄れてきたということがお分かりいただけるでしょうか?

電気、水道、ガスがなかった時代は、周囲にくらす人々が共同体となり、生活を維持していくことが必要でした。これが、電化製品が誕生していくと、共同体は、単に飲み会。あるいはお祭りの時の集まりとなり下がり、田舎でくらしていくことに必然性もなくなります

 

昭和の時代を過ごした人なら経験のある、女友達の家に電話をかける際のプレッシャーも、今は携帯で直電すればいいだけのこと。

親父、あるいは家族というフィルターを通さず、コミュニケーションが図れてしまう時代になったのです。

 

旧世代の幡谷は、知らない家にいくとき、地図を打ち出していきます

一個うえでの親父世代は、電話して目印をきき、地図も持たずにいきます

そして新世代、ニュータイプはスマホで、目的地に向かうでしょう

 

親父世代の脳には、今の世代には必要な高度なナビゲーションシステムがあったのかもしれません。しかし新しい世代には、そんな能力は必要ないのです

逆に、新世代は、すごいスピードで情報を処理することができます。赤ん坊がYOUTUBEを操作できる世代の誕生です^^

 

いずれも、世代間の能力は、世代の育った環境を表し、そして必要な能力だけが取捨選択されていくことがわかります。

 

平成27年、いま生まれた子供たちが大人になるころ、世の中はどう変わっているのでしょう? たぶん今では考えられない価値観の若者が登場しそのかわりに、信じられない能力を発揮していることが予想されます

 

移ろいゆく世界、「最近の若者は・・・」っとなげく親父たち。しかし、おっさんよ、嘆くなかれ。だったら、おまえがやれることをやれ!というだけです

 

家訓づくりは、先祖から受け継いだ価値観を見直し、次の世代に渡すものです。古今東西、若者は常にとっぽいもの。そして、それは子供のせいでなく、それをしつける親の責任であると家訓二ストは考えます

 

ガンダムで考える近現代史。宇宙で暮らす未来の様子は、便利になアイテムがたくさん登場していました。ただし、充実した未来の生活用品にくらべ、家族のぬくもりという点では、家族の関係は誰もぎこちなく、むしろ徹底的に破壊されて登場します

79年の公開以来、人類はまだ宇宙で暮らしていないのに、家族の崩壊だけは

当たってしまっているようです。

 

 

旧世代からみたら、新しい価値観のもった若者はいつもモンスターのように見えるもの。そして若者にとっても、古い世代の価値観はうっとしいだけ。    

古代より、人間は新しい世代と、それまでの世代の価値観が対立し、あるいは融和することで、社会を構成してきました。

 

しかし、そんな世の中であっても唯一変わらないものは、あなたには親父とおふくろがいて、そしてその親父にも、おなじく、父母がいること。昭和から平成へ。そしてピラミッドから、宇宙世紀へ。時代はかわっても、「家」という単位だけは変わらない価値観なのです。

 

歴史は、今、つくるもの

ヒーローにも、ニュータイプにもなれなくても、家をまもり、あるいは喧嘩したとしても、歴史の証人としてあなたの1日を懸命にいきることを推奨します

 

ガンダムは1日にしてならず・・・

 

違うか(*_*)