家訓ニストが考える「故郷」と「家」 ~南双葉JCさま 10月例会を前に~

画像は東日本大震災後の自宅と、一難をさけた愛犬ガボの写真です。普段は寝てばかりのバカ犬ですが、雪崩のように落ちた瓦の残骸のなか、なんとか避難してくれたようです。

 

犬だって大事な家族。そして家族が幸せに暮らせること以上に、尊いことってあるでしょうか?

家訓づくりプログラムは、そんなありきたりの日常を全力でサポートするプログラムです。その思いは震災前、そして震災後、さらに強くなり、11年度の発信以来、足かけ4年、150回の開催と6000名の受講者をお招きしてきました。

 

そして14年度10月、福島県南双葉JCさまより家訓づくりプログラムのオーダーを頂戴しました。南双葉は、域内に福島原発をかかえ、また未だ立ち入り禁止区域と向き合うエリアでもあります。

戦後の焼け野原から始まった日本の青年会議所運動の中で、戦後復興をになった先輩方と共に、これほどの困難と、また社会的な理不尽さと戦わなくてはいけないエリアがあったのでしょうか?

 

しかしそんな困難さと向き合うことがJAYCEEであり、また困った仲間の手助けをする。それもまたJAYCEEです。

 

今回の家訓づくりでは、小野田理事長より、郷土愛を醸成する内容となることを依頼をされています。これは、南双葉を活性化させるために、メンバー間で議論をすすめ、いま一番重要なことが、郷土愛を思い出すことである!との結論に至ったとのことでした。

 

南双葉のおかれている状況は、多くの困難と、矛盾が点在しています。

線量が下がったとはいえ、まだまだ高い放射性物質の影響が残り、子どもの健康を考え、帰りたくても帰れないお母さん。

あるいは、街に人が戻らないために、商売の見込みがたたず故郷に帰れないお父さん。そして、帰宅するよりも避難生活を続けたほうが、支援金を多くもらえる社会的なひずみもあります・・・

いずれも、地域なコミュニティーでは解決できない国家的な「矛盾」のなか、それでも人は故郷に根を降ろし、息をし、飯をくい、営みを紡いでいかなくてはいけないのです。

 

では、そんな状況でなにをするのか?

南双葉JCのみなさんの考えたロジックは、まず郷土愛を醸成すること。そして故郷にかえってくる気持ちを整えることを定めました。

これからも政府からは資金がはいり、道は整備され故郷の復興は、すすむでしょう。しかしそこに「ひと」がいなければ何の意味もないはずです。そして、そんな「ひと」を故郷に帰ってきてもらうキー素材が、「郷土愛」という結論です。

 

家訓づくりでは、「家」というものに特化しながらセミナーを進行していきます。

セミナーでは、個人、個性なんて安っぽい言葉を捨てて、自分自身がご先祖さまからの繋がりの中で生かされていることを思い出すことを大事にしています。

「個」は個に会って個にあらず。家も、家にあって、家にあらず。個人がご先祖さんに活かされているように、家も地域の中でいかされ、そしてそんな家が集まり形成されているのが、集落であり、街であり、日本なのです。

 

夏目漱石の著作「草枕」にはこんな一文が寄せられています


山路を登りながら、こう考えた。

智に働けば角かどが立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通とおせば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟さとった時、詩が生れて、画が出来る。

人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

 

人の世をつくったものは、新聞でもテレビでも、もちろん霞が関の役人でなく、向こう三軒両隣りにチラチラするただの家です

。住みにくろうと、あなたの立っている場所が故郷。そしてそれは、地球上、どこにもないたった1つの聖地なのではないでしょうか?

南双葉JCさま10月例会では、そんな家。そして家をつむぐ故郷を守り、新しいふるさとをつくる家訓づくりに挑戦します!

 

開催は、10月31日、家訓ニスト、そして南双葉JCの挑戦に、乞うご期待を!