藻谷浩介さん講演 備忘録(水戸JC 6月例会「平成弘道館」にて)

「デフレの正体」「里山資本主義」(NHK広島 共著)で有名な、藻谷浩介さんをお招きし、講演会を実施しました。

 

里山資本主義という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

岡山の山間部にある真庭では、間伐材を有効利用したペレットをつかい、エネルギーの自給自足をめざすだけでなく、地域に雇用をもたらしました。弱肉強食の資本主義に、「安心」の原理を持ち込んだ、これまでの町おこしのやり方に一石を投じた事例を紹介した本です。

 

うちの街には、里山もないな・・・
というあなたも安心してください。藻谷さんが提唱する街づくりは、地域で眠っている地域資源を発掘し、育てることで、安心し豊かに生活できる地域を再生できるとするものです。

 

では、あなたの街の財産って何でしょう?

水戸JCでは、そんな財産をさぐるため、藻谷さんをお招きさせていただきました。

 

 

藻谷さんは、地域経済、観光、人口動態を詳細に調査し、講演活動を行っています。日本全国のほとんどの都市を旅行した経験を持ち、現地を歩いて回り、また市町村関係の統計数字や地域特性を詳しく把握した上で、その都市の抱える問題点を解析し、現場の実例も紹介しながらその都市の中心市街地活性化などまちづくりのあり方を提言しています。

 

都市の起源や歴史、盛衰に関しての興味を持ち、受験生時代には受験科目に関係ない「地理」の独学に励み、すでに彼の出身地である山口県、中国地方での高速道路や鉄道整備によるストロー現象を発見していたといいます。全国の都市への訪問はそうした好奇心が動機となって始まったものであり、当初はほとんどが私費旅行であったという。この経験が彼のまちづくりの考え方の原点になっているそうです。

 

藻谷さんは、長年、日本各地の市町村を実地調査し、地域特性を生かした活性化を提言してきた。その主張の特徴は、生産人口が激減するという時代の大きな変わり目にあっても、なおバブル時代に夢みた高地価を前提にまちづくりを考えていては、失敗は避けられないことを看破した点にあるようです。

 

中心市街地に必要なのは、まず人が住んでいること、次に職場があること、それから公共施設あるいは病院といったコミュニティー機能があることであり、最後に商業があることだとし、そのためには住居を好き放題に郊外に分散させてきたやり方を改めるだけではなく、地権者自らが家賃を下げ新しい住人を受け入れていけるような仕組みをつくり、商売を続ける意欲のない商店主は、むしろ割り切って若者が住み、新しい商売をできるようにすることが大切だと主張しています。 

 

全国各地に無数の定点観測点を持ち、市町村関係の最新の統計数字や地域特性を踏まえた上で分析するのが最大の特徴である。全国各地で年間400回以上の講演会をこなしています。

 

水戸青年会議所では、水戸の街の成り立ちにも造詣深い藻谷さんをお招きし講演会を企画するにあたり、委員会で考える「まちづくり」のプレゼンを披露させていただきました。

 

ここで、水戸JCの考えたまちづくりのフローを紹介します

 

①これまで通りのアッパーなまちづくりでは、現状は打破できない。

②総花的な施策ではなく、財産をみつけ、育て、伸ばすことが大切だ

③これからは、中心市街地は駅前でなくもいい。水戸の中心、そして核は、偕楽園と千波湖大規模公園であると提言

④公園を中心とした豊かな生活と、観光客を招き入れることの2点の利点がある

⑤これまでの夜梅祭で得られた知見をいかし、良い所はさらに良く。悪い所は、改善するべき

 

そして、中長期的に3つの世界一をめざし、その過程でまちにイノベーションをおこします。

1.ニューヨークセントラルパークをぬく世界一位の都市型公園を実現する

2.偕楽園公園を核として、世界一の豊かな生活環境を実現する

3.世界一の庭園都市を世界遺産として登録をめざす

 

畏れ多くも?講師の前で発表となりましたが、この大胆さがJCですね(^_^;)

 

受講された皆様にも、JCの考えるまちづくりと、対比させながら講演を伺う機会になったことで、分かりやすい設えになったものと考えています。

 

ということで、藻谷さんの講演の備忘録はこちら・・・

(水戸市魅力発信課 沼田さんのデータを参照させていただきました)

 

■藻谷さん備忘録

  

★まちづくりが続かなくなるとき
①まちづくりが滅びる際の3つの条件
 ・役所が役所の論理に引きこもり、予算消化に徹する
 ・企業が企業の論理に引きこもり、採算事業に徹する
 ・間をつないできた住民組織が、代替わりに失敗する
3条件を揃えるのは、「優越」「個我確立」を求める (「かけがえのない人生」を求めない) 有力者
 ・バトンをつなぐ意識がなく、自己主張や他人を払いのけたい欲求が強い人間を、地位につけてはいけない!
③対策…若い頃からの教育の徹底
 「かけがえのないこの町を次世代につなぐ、かけがえのない自分たち」という意識を、若者に植え付けよ

 

  

★「日本で一番、車社会化の進んだ県庁所在地」と言われる水戸
・便利を追求した結果、市民は(ガソリン代を払い続ける)「産油国の奴隷」になり、対中東の貿易赤字の拡大に加担している
 ↑
・数百mの移動でも車を使う習慣は、油を売る側の思う壺。
・しかも化石燃料代もウラン代も、今後ますます上がっていく。
 ↓
・車に乗らずとも暮らせるまちづくり
・歩ける範囲で暮らせるまちづくりこそ、水戸に必要なもの

 

★まちづくりのステークホルダー
 ・水戸は、個人事業者、住民や外野の人、行政に、それぞれ頑張っている人がいる。
 ・しかし、不動産オーナーのまちづくりへの関与が少ない。
 ・水戸ではJR東日本のみが気を吐いていて、結果、駅ビルだけは人がたくさん歩いている。
 →まちなかの不動産オーナーは、JR以上に自分自身の経営高度化や居住促進への協力を頑張る必要がある。

  

  

★まちなかの成立・発展・衰退・消滅
 ①住む人が集まることで経済活動が始まる
 ②経済活動が発展し、街へ人が来るようになる
(
パターン1)
 ③地価賃料が上昇することで商業施設が住居を追い出す
  →来る人だけの街になる
 ④住む人を失ったため地区の文化・気風が失われる
  →ある時期から急に人が来なくなっていく
  →消滅!
(
パターン②)
 ③中身の新陳代謝を怠り、他都市や郊外との経済競争に敗れる
  →住む人だけの地区に戻っていく
 ④来る人を失ったため 「器の力」が落ちたムラになる
  →住み継ぎが行われなくなり住人が減る
  →消滅!
 パターン1に陥っているのが上市(水戸駅北口〜大工町)
 パターン2に陥っているのが下市(本町)
 →上市は住む人を増やす、下市は来る人を増やす、が基本的な作戦。

 

★水戸のような近世城下町の特性
①商売が栄えやすい場所を選んである
 そもそも、街道筋の交通の要衝であることが多い
 その地域の中でも特に天災に強い場所を選んである
②昔の町割や公園づくりの「名残」がある
 「名残」は車社会化が完成した中で逆に、観光地・住む場所・お洒落なビジネス拠点として、希少価値が出ている
※沼田注:泉町の町屋など
③ 城下町としての気風・矜持が残っている
 いい方向→古いものを守って残す根性や、自分の町の歴史や個性を学んで誇りを持つ心につながる
 悪い方向→新しい動きをむやみに邪魔する根性や内心誇りもないのに空威張りだけする心につながる

 

★「まちなか」の3要素
 ①「住む人」と「来る人」の「共生」
  ・雑踏の中で、人々が場と時間を共有し、交流・発見が生まれる
 ②「変転」ある「雑居」を生む「器」の力
  ・土地建物が新しいものを受け入れる「器」として機能
   →その上に、諸機能・諸事業・諸人が、入れ替わりつつ雑居
   →規模の利益を追求しない、個人企業の独自コンテンツも生息可能
 ③文化・気風・ブランド
  ・統制者不在・入退出自由にもかかわらず、
   競争の中から醸成される、
   まちの「史伝子」を踏まえた、
   独自の文化・気風・魅力

 

 ※幡谷注:宮下銀座がいいかんじ?

 ※   :若い世代が、文化遺産(弘道館、三の丸庁舎)で事業をしようと考えるだけでえらい

 ※   :一番のバイオえれるぎーは、人間の足(^_^;) あるけ!ということ

 ※   : 高齢化社会が諸悪の原因。でも年寄は悪ではない

 ※   :長野県は、平均寿命が一番ながく、そして医療費が一番安い

 ※   :予防医学◎ 病気にならない身体をつくる散歩が重要、その意味でも千波湖は最高のロケーション