心につくる防波堤「家訓づくり」は、震災後の社会をつくる切り札です。

画像:神社の分布と津波の状況
画像:神社の分布と津波の状況

東日本大震災関連エッセー3部作

第一部「減災の視点からの家訓づくりの有用性」

 

経験したことをそっと胸にしまえば、思い出・・・。それを伝えることができれば「教訓」となります。

 

あなたは、震災の教訓を残しているでしょうか?家訓づくりプログラムでは、家に非常用持ち出し袋を常備しているかを、尋ねるようにしています。その結果は・・・10%ぐらいしか準備が整っていません。これは経験を教訓として残していない悪い例です。

 

日本列島は、天変地異と隣り合わせで暮らさざる負えない環境です。そして、ご先祖さん、そのまたご先祖さんと、様々な経験が、教訓として伝えられている国でもあります。画像をみてください。これはTBSで特集された岩手県沿岸部の津波の到達地と、現存する神社の分布図です。これをみると神社の手前で津波が止まっている様子が確認できます。逆をいえば、神社まで逃げれば安全だ!そんな道しるべにもなっていることが分かります。これは先人が残してくれた教訓という名の財産なのではないでしょうか?

 

また、言い伝えの中には、「津波てんでんこ」というものがあるそうです。てんでんこは、「各自」「めいめい」を意味する名詞「てんでん」に、東北方言などで見られる縮小辞「こ」が付いた言葉。すなわち、「津波てんでんこ」「命てんでんこ」を直訳すると、それぞれ「津波はめいめい」「命は各自」となります。これを防災教訓として解釈すると、それぞれ「津波が来たら、取る物も取り敢えず、肉親にも構わずに、各自てんでんばらばらに一人で高台へと逃げろ」「自分の命は自分で守れ」になるという意味になります。 

 

これは、「自分自身は助かり他人を助けられなかったとしてもそれを非難しない」という不文律でもあると言い、災害後のサバイバーズ・ギルト対策や人間関係修復の意味を言外に含むとされます。

 

2011年の東日本大震災で「釜石の奇跡」と呼ばれる事例では、「津波てんでんこ」を標語に防災訓練を受けていた岩手県釜石市内の小中学生らのうち、当日学校に登校していた生徒全員が生存し、話題となった。小中学生らは、地震の直後から教師の指示を待たずに避難を開始。「津波が来るぞ、逃げるぞ」と周囲に知らせながら、保育園児のベビーカーを押し、お年寄りの手を引いて高台に向かって走り続け、全員無事に避難することができたそうです。


いま政府を中心に、減災で打ち出されている対策は、経験を教訓に反映しない霞が関のビルの中でつくった作文がほとんどです。たとえば、数兆円をかけ建設がすすむ防波堤をして、そのほとんどが、同じだけの高さの津波がきたら意味をなさない程度のものです。それは、無駄・・・を通りこし、尊い犠牲を払った「命」への冒涜なのではないでしょうか?

悲しいかな、日本で暮らす以上、津波、地震、噴火、台風、雪・・・ 自然の猛威からは、逃れられないものです。なんぼコンクリートを固めて積み上げても、あさはかな人知は自然に勝てないのです。

 

今こそ、経験を教訓にかえ、実りある対策をうつ必要があります。

この時の対策は、ハードでなく求められるのは、ソフト面での対策です。

神社の位置が、津波の到達地点に沿っていることも、過去の被害からのソフト面での対策だったのではないでしょうか?そして、付け加えるなら、「津波てんでんこ」の教訓を、語り継ぐ仕掛けを用意すれば完璧なものになるのではないでしょうか?

 

・・・語り継ぐ仕掛け? はい、家訓の出番です! 

 

経験を教訓にかえる家訓づくり。たとえば、「保証人になるな」こんな家訓がある家には、たぶん、何世代か前のご先祖さんが、保証人になり失敗した「経験」があったことでしょう。海沿いに暮らすあなたは、「津波てんでこ」も、ぜひ家訓に加えてほしいものです。事実、大きな被害をだした津波被害にあって、高台への非難が徹底できていれば、被害は、5分の1とも、10分の1とも大幅に減らすことができたという指摘もあります。

 

普段から、避難訓練を実施している多くの小中学校では、被害は少なく98%の生徒の命が助かっているそうです。次に助かったのが、会社関係。そして、一番の被害を出してしまったのが、ふつうの生活をおくる家庭内での被害。とくに高齢者の皆様の尊命が失われる結果になりました。これは、組織として、対策をしていたことの有無の差ともいえます。学校や、会社では、訓練はできます。では、家庭のなかで・・・避難訓練をあなたは出来ますか?ぼくは、できません(*_*) そもそも、非常用持ち出し袋の常備さえ、経験を教訓に変換できないのが、人間なのです。

 

だから、家訓なのです。

熱しやすく冷めやすい、それも人の世の常。だからこそ、守らなければならないルールを箇条書きにし、何度も何度も唱和し、実践することが肝要なのです。

 

震災の恐怖は、東北だけでなく、日本列島、どこにいても起こりうるものです。それは1時間後かもしれないし、1000年後かもしれません。「いま」できる最良の選択をできるだけ積み重ね、来るべき時に備えましょう。いまできる最良の選択とは、家訓づくりプログラムを受講いただき、家庭内での唱和をしていただくことなのです!

 

穴をほり、コンクリートで固め、一歩の外に出さなければ、子どもの怪我、事故から守ってあげることができます。

しかし、生きていく以上、子どもは町を歩く必要があり、地震に限らず、自動車や、駅前のヤンキー?っと、子どもや家族を守りきること不可能になのではないでしょうか?

コンクリートから人へ、命を守る取組は、危機が迫った時に、子どもが強い子でいることで、ほぼほぼ解決できると家訓二ストは提言します。良い子でなく、強い子をつくる。家訓には、そんな効果があります。

 

減災のための家訓づくり。

10mの防波堤をつくる費用は、数千億円。心に作る防波堤は、プライスレスです。

 

家訓づくりプログラムを受講いただき、あなたの心に、そして家族の心に、絆という名の防波堤をつくってください。