岩崎家家訓(弥太郎の母、美和の家訓)
一、人は天の道にそむかないこと。
二、子に苦労をかけないこと。
三、他人の中傷で心を動かさないこと。
四、一家を大切に守ること。
五、無病の時に油断しないこと。
六、貧しい時のことを忘れないこと。
七、常に忍耐の心を失わないこと。
今回、紹介させていただく家訓は、三菱財閥の創始者「岩崎弥太郎」の母・美和さんが、遺した家訓です。
俗に、組織の三菱、人の三井、結束の住友との表現があります。三菱財閥は、GHQによる財閥解体後も、組織としての結束を高めるため社長同士のつながりや、徹底した社員研修で、三菱の歴史、そして岩崎家の歴史を学んでいるそうです。
ひとに歴史あり 歴史の裏に三菱あり?
だれでも知っている三菱グループと、案外しらない一族の歴史を紹介させてください
南国高知、土佐藩にあった岩崎家は、土佐藩の地下浪人という身分でした。地下浪人とは、武士階級であった岩崎家が、貧しさのなかで、侍の身分を売り渡してしまったことに由来します。つまりド・貧乏です。そんな岩崎家に嫁いだ美和は、赤貧のなか、子どもたちを立派に育て上げ、息子・彌太郎が維新後商売を始めた後も、内にあって彌太郎を絶えず励まし、時に厳しく諌(いさ)めていました。万事にがむしゃらな彌太郎には敵も多かったが、母は生涯を通して心の安定をもたらす存在であったと言われています。
明治維新後、巨大な財閥となっていく三菱にあって、美和さんだけが、母親として、一人の子供(弥太郎)の行く末を案じていたようにも感じます。 この親にして、この子あり。この母にして、三菱ありです^^
資源がない日本にとって貿易を行うことは国家の命運を担うことと同義となります。 しかし、教科書を開くと、「商人」の歴史はほぼ無視している現状があります。これは儒教の悪影響の1つで、士農工商の差別が、未だに社会で消化できていない証拠です。国を動かすのは、政治だけにあらず。人々の暮らしとそれに寄り添う商人こそが、国の本当の主人公なのではないでしょうか? 家訓ニストは、弥太郎と岩崎家の歴史は、教科書にのせるべき偉業であると考えています
岩崎家は、俗に三井、住友とともに三大財閥と謂われますが、三井、住友が300年以上の歴史を持つ旧家なのに対して、三菱は、岩崎弥太郎が維新後の動乱期に便乗し?一代で、今に繋がる繁栄を築いたという違いがあります。弥太郎は天保5年、土佐国(現在の高知県安芸市)の地下浪人として生まれています。土佐藩随一の学者・吉田東洋の知遇を得、その門下生である後藤象二郎らとの交際、そして坂本龍馬率いる海援隊での経理を担当し起業の糸口をえています。
創業は土佐藩の「九十九商会」に由来し、その後「三菱商会」(現在の日本郵船の前身)と改称し事業を展開しました。現代でも三菱は、三菱東京UFJ銀行、三菱商事、三菱重工業などなど、グループ全体の資産を推計すると200兆円を保有しています。これは国内の個人資産1400兆円の2割にあたるとんでもない規模です(*_*)。東京駅を出て目に入る建物のほとんどが、ダイヤのマークのグループ企業の所有物件ともいわれています。
先の大河ドラマでは、坂本龍馬との交流が描かれ再注目を集めました。そして龍馬の夢は、政治ではなく貿易立国でした。明治以降、龍馬の夢の続きを弥太郎が担ったのかもしれません。
ちなみに、岩崎弥太郎に託した母親の家訓の他に、弥太郎が子孫に遺した家訓も存在します。一般的には、こちらが有名ですので、追記させていただきます。
一、小事に齷齪するものは大事ならず、よろしく大事業経営の方針をとるべし。
一、一たび着手せし事業は必ず成功せしめざるべからず。
一、断じて投機的な事業を企つるなかれ。
一、国家的観念をもってすべての経営事業にあたるべし。
一、奉公至誠の念にすべて寸時もこれを離るべからず。
一、勤倹身を持し、慈善人にまつべし。
一、よく人材技能を鑑別し、すべからく適材適所に配すべし。
一、部下を優遇するにつとめ、事業場の利益は、なるべく多くを分与すべし。
一、創業は大胆に、守政は小心たれ。樽より掬む水にまして、洩る水に留意すべし
弥太郎の言葉は、現代にも通用するガバナンスの基本を教えてくれています。 この家訓を遺した明治中期、世界では、帝国主義が暗躍し、従業員や、顧客から搾り取るだけ絞る取るそんな経営が手本とされていた時代です。 今の日本の豊かさをつくった商人は、貨幣だけでなく、心の豊かさも作っていたのかもしれません。
三菱の歴史は日本の歴史。岩崎家の偉業とその礎をつくった美和さん、そして弥太郎の家族の歴史に脱帽です。
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